矯正治療をしたにもかかわらず、歯並びがもとに戻ってしまうことを「後戻り」と言います。後戻りの程度が強い場合は、再度矯正治療が必要になることも。
そのような状態になることを予防するために装着する「リテーナー」という器具をご存知ですか?
今回のコラムでは、リテーナーについての概要や必要な着用期間などについて詳しくご紹介。
また後戻りを防ぐにはどのようなことに注意すればいいか、原因や対策についても解説いたします。
リテーナーって何?
リテーナーは別名「保定装置」とも呼ばれ、矯正治療後の歯並びを美しく保つために必要不可欠なものです。
歯列矯正直後の歯と周囲の骨はまだ安定しておらず、元の歯並びに戻ろうとする力が働きます。
中には半日リテーナーをつけていないだけで歯が後戻りしてきてしまう場合も。
そんな後戻りしやすい歯をしっかりと固定するリテーナーは、今後美しい歯を保ち続けるためにもおすすめです。
リテーナーを装着する時間は一日どれくらい?
食事や歯みがきの時以外、一日のうち最低でも20時間以上はリテーナーを着用するのが一般的です。矯正歯科医の指導に従うようにしましょう。
装着しない時間が長いと歯が後戻りを起こしリテーナーが合わなくなるので、注意が必要です。
次第に歯が安定してきたら少しずつ装着時間を短くできますが、歯科医の指示があるまでは勝手に外さないようにしましょう。
保定期間はどのくらい?
矯正が終わってから約1~3年間は「保定期間」として、3ヶ月から半年に一度メンテナンスを行う場合が多くなります。
およそ矯正治療と同じだけの期間装着する必要があるので、長く感じるかもしれませんが、今後美しい歯並びを手に入れるためにもこの保定期間は重要なのです。
約3年間の保定期間終了後は、リテーナーを完全に外しても大丈夫です。
しかし保定期間終了後も様々な原因で歯並びやかみ合わせが変化する可能性があるので、定期検診やメンテナンスは行うことをおすすめします。
どんな種類があるの?
リテーナーには、主に2つの種類があります。歯並びや口腔内の状態によって使用するものが異なるので、これから詳しく見ていきましょう。
固定式(取り外しできないタイプ)
取り外しができない固定式リテーナーは「フィックスタイプ」とも呼ばれており、細い針金を歯の裏側に装着します。
特徴としては歯の裏側に針金を固定することで正面からは見えず、固定式のためいちいち取り外す必要もありません。
しかし歯の裏側に装着していることで歯が磨きにくいという欠点があります。磨き残しは虫歯や歯周病の原因になるため、定期的に歯科でクリーニングをしてもらいましょう。
可撒式(取り外しできるタイプ)
可動式リテーナーは、その名の通り好きなタイミングで取り外しできるところがポイントです。
種類は、プラスチックで歯茎を覆う「ペッグタイプ」やよく後戻りする前歯のみを押さえる「ホーレータイプ」などがあります。
欠点は着脱が難しいところです。食事や歯みがきの時には外すことができるため、固定式リテーナーよりも清潔を保ちやすいという利点があります。
リテーナーのお手入れ方法は?
リテーナーには、着脱の手順があります。着脱可能なリテーナーを使用している場合は、以下のことに注意しましょう。
1.外すときは必ず奥歯から
2.つけるときは前歯から
間違った手順で着脱を行うとリテーナーが破損してしまったり、歯の形に合わなくなったりします。
リテーナーは長期間使用する装置です。正しくお手入れをすることで長持ちさせることが可能なのでお手入れはしっかり行いましょう。
お手入れの方法(可動式リテーナーの場合)
- 柔らかい歯ブラシと中性洗剤を用いて優しく洗う
- 週に1回以上矯正用の洗浄剤で洗浄する
長く使うものなので、こまめなお手入れで清潔を保ちましょう。
無くした!壊れた!痛い!トラブル時はどうすれば?
リテーナーに何かトラブルがあった際にはすぐに対処する必要があります。
リテーナーにひびや歪みが生じていると歯並びにも悪影響を与えることも。
またリテーナーをなくしてしまった場合、新調するまでに時間がかかることが多いので、その期間は応急処置が必要になります。
どちらの場合も、すぐに医師に相談してください。
またリテーナーで保定を開始した直後は、痛みのトラブルが起こることもあります。
この場合すぐに矯正歯科を受診して、調整してもらいましょう。
これまでずっと問題なく使用していたのに急に痛みが生じた場合は、歯が動いてしまっている可能性があります。
この場合もやはり医師に連絡しましょう。
矯正後の後戻りはどうして起きる?
せっかくキレイな歯並びを手に入れたのに、徐々に後戻りをしてしまうケースがあります。
歯列矯正後の後戻りはどうして起こるのでしょうか。その原因と対処法をご紹介します。
治療後の保定期間が短い・不充分
歯列矯正治療では、歯列、噛み合わせ、歯並びを安定させる「保定期間」を設けることが重要です。
付けるのがわずらわしいからと言って、自己判断でリテーナーを外してしまうと、後戻りする可能性が高くなってしまいます。
定期受診を怠った場合
歯列矯正治療と、保定期間が終わった後に「親知らず」が生えてしまい、他の歯を圧迫することで歯列を乱す場合もあります。
この場合、定期的に歯科受診していれば、適切な時期にかかりつけ歯科や口腔外科と連携を取って抜歯することで、後戻りを防げる可能性が高くなります。
不正咬合の原因が残っている
矯正治療経験が浅い医師による治療や、カウンセリング不足で充分な治療を行えなかった場合も、後戻りを引き起こすことがあります。
後戻りを防ぐためにはどうすればいいの?
長い歯列矯正を経て、せっかくきれいになった歯並びですから、良い状態をキープしたいものです。「リテーナー」「生活習慣」「歯科受診」3つのポイントに注意して後戻りを防ぎましょう。
保定装置(リテーナー)をしっかりつける
矯正歯科医師が指定した保定期間中は、リテーナーをしっかり装着することが大切です。
自己判断で外してしまわないよう、医師の指示期間を必ず守りましょう。
歯列に悪影響のある生活習慣を見直す
知らず知らずのうちに、歯並びを乱す原因になる行動をとっているケースがあります。たとえば、
- うつぶせ寝をしてしまう
- 片側で噛む習慣がある
- 口呼吸のクセがある
- 頬杖をつくクセがある
上記のような生活習慣です。これらの習慣は自分では気づきにくいものです。意識してクセを直す必要があります。
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定期的に歯科受診をする
整った歯列を保持するため、矯正治療後も歯科定期検診を受けましょう。
歯列矯正の後戻りを防ぐため、はじめから信頼できる技術を持った医師がいる矯正歯科を選ぶことも重要です。
質が高く、後戻りしにくい矯正治療を受けるには、豊富な臨床例と実績を持つ「日本矯正歯科学会」の認定医・指導医・専門医による診察・治療をおすすめします。
リテーナーを上手に使ってキレイな歯並びを維持しよう
整えた歯並びは、できればキレイなまま維持したいものです。
矯正が終わった後はリテーナーを正しく装着することで、歯並びが後戻りせずに安定します。
矯正治療をお考えの場合は、矯正が終わった後のリテーナーについてもきちんと知っておくといいですね。