噛み合わせが悪い」ことは見た目の問題だけでなく、全身に影響を及ぼす可能性があります。
すでに肩こりやめまいなど、何らかの不調を感じているならその原因は「噛み合わせの悪さ」によるものかもしれません。
今回は「噛み合わせが悪いのかどうかをチェックするポイント」と、「噛み合わせが悪いと起こる影響」また「歯列矯正での治療方法」をお伝えします。
「噛み合わせが正常か」を見るポイントは?
まずはご自分の歯の噛み合わせが正常かどうかを確認しましょう。
- 上下の前歯の中心が一致しているか
- 上の歯が下の歯より2ミリ程度外側に並んでいるか
- 上下の前歯の噛み合わせの深さが2ミリ程度か
- 自然な状態にした時に口が閉じていて、そのとき鼻呼吸ができているか
一見、何も問題がないように見える人も、改めて確認してみると噛み合わせにズレが生じているかもしれません。
「少しくらいなら大丈夫」と考えてしまいそうですが、噛み合わせの悪さが体へ及ぼす影響は数多く存在するのです。
噛み合わせが悪い原因は?
噛み合わせが悪い原因としては「遺伝」などの先天的なものと「骨の発達障害」「癖による悪化」「歯を抜いてそのままにしておいた」など後天的なものがあります。
先天的な原因
先天的な原因としては、遺伝によるものです。このため、親子は似た歯並びや噛み合わせになりやすいといえます。
歯と顎のバランスがとれていないために起こりやすいのは、ガタガタの歯並びである叢生(そうせい)という状態です。
上下の顎の骨のバランスがとれていない場合や歯の並ぶ角度が悪い場合は、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)になることもあります。
後天的な原因
顎の骨の発達が十分でないために噛み合わせが悪くなる場合があります。「頬杖をつく」「指しゃぶり」「舌で歯を押す」「歯ぎしり」などの癖によって噛み合わせが悪化するケースも多いものです。
また、むし虫歯を治療しないで放置したり、歯を抜いたままにしておくと歯が正常な位置から移動して噛み合わせが悪くなることもあります。
噛み合わせが悪いとどんな影響がある?
噛み合わせや歯並びが悪いと身体のあちこちに影響が現れることも多く、それらの不調は「咬合関連症」と呼ばれ、近年注目されています。
ただ、身体の不調は多くの要因が複雑に関連して起こるケースがほとんどです。そのため全てが噛み合わせのせいとは言い切れませんが、もし当てはまる点があれば、一度矯正歯科を受診してみても良いかもしれません。
虫歯や歯周病になりやすい
噛み合わせが悪くなる原因の一つに「歯並び」が挙げられます。歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくい部分が出てきて、結果的に虫歯や歯周病になる可能性が高まります。
頭痛が起こる
噛み合わせの悪さから、ものを噛むときに使う筋肉に余計な負荷がかかることで、頭痛が起こりやすくなります。
「側頭筋」は咀嚼(そしゃく)筋の一つで、口をとじるときに使われる筋肉です。この筋肉は側頭部を覆っているので、頭痛を引き起こす原因になります。
肩こりと腰痛
物を噛むための組織である下顎の筋肉はとても強く、個人差はあるものの、自分の体重の約二倍ほどだといわれています。
上下の歯の噛み合わせが悪く左右差があると、それを調整するため、下顎に多く負荷がかかります。その結果、引き起こされるのが余計な緊張や筋肉疲労です。
下顎には鎖骨や肩甲骨からつながる筋肉が付着していますので、それらの筋肉にも影響が出て、噛み合わせに起因する肩こりが発生します。
噛み合わせは顎関節から頸椎、背骨にまで影響するもの。身体が歪んだ状態になると、肩のラインにも左右差が発生し、そのままの姿勢で知らず知らず生活する事になってしまうのです。
その生活が長く続くと脊椎に余計な湾曲が生じ腰痛や椎間板ヘルニアの原因になることがあります。
顎関節症になりやすい
あごの関節からカクカクと音がしたり、口をあけると痛い、といった症状が出る「顎関節症」(がくかんせつしょう)。
噛み合わせが悪いとあごの関節に負担をかけてしまうので、「顎関節症」を引き起こす原因になります。
歯の摩耗
噛み合わせが悪いと歯ぎしり、食いしばりが発生しやすい状況になります。
すると噛み合わせの面のエナメル質が摩耗して歯が平らになり、象牙質が露出してしまうこともあるのです。
また噛み合わせが悪いことで、気が付かないうちに歯に異常な負荷がかかり、歯の破折が起こる場合もあります。
特に根が割れてしまった場合は、その歯を救うことはまず出来ません。
体調を崩しやすくなる
噛み合わせが悪い人は、口で呼吸をしてしまいがちです。
口呼吸は鼻呼吸よりも体に細菌が入りやすいため、風邪や喉の不調などの原因になり、知らず知らずのうちに体調を崩しやすくなります。
まずはご自分でチェックを!
体の不調は「噛み合わせの悪さ」が原因かもしれません。噛み合わせの悪さは体のいたるところにまで影響を与える可能性があります。
見た目では気にならない噛み合わせのズレであっても、頭痛や顎関節症に悩んでいる方は今一度チェックをしてみましょう。