お子様の歯並びが気になるものの、いつから矯正を始めようかと悩む親御様は多いようです。歯列矯正の開始時期は、永久歯が生え始める1期(前期)と第二大臼歯が生える2期(後期)の大きく2つ。このコラムでは、期ごとの歯列矯正の流れや使用する器具や費用について詳しくお伝えします。

子どもの歯列矯正を開始する時期と流れ

お子様の歯列矯正をはじめるのに適した年齢や時期、治療にかかる費用についてご説明しましょう。

子どもの歯列矯正の流れ

歯列矯正では、初診から矯正装置を装着するまでに、精密検査や診断、ブラッシングの指導などをおこないます。ブラッシングの指導を行うのは、矯正治療中の虫歯予防や食べ残しを防ぐため、しっかりと歯を磨く必要があるためです。

矯正器具を装着しているあいだは、原則、1から2か月に1度の割合で通院が必要です。さらに状況によっては、口腔内のチェックや器具の調整をおこないます。そして矯正器具の装着期間が終了した後は保定期間を設け、歯が元の状態に戻ろうとする後戻りを防ぎます。

1期(前期)の歯列矯正を始める時期と期間

1期(前期)の歯列矯正は、永久歯が生え始める6〜7歳です。そして下顎が前に出る受け口の治療は、6歳から8歳までに受診するのが望ましいとされています。上顎の成長は10歳でほぼストップ。成長が止まる前に矯正歯科で受診するのがオススメです。

一方、歯並びの凸凹や前顎前突(出っ歯)などは、8〜10歳くらいで歯列矯正を開始しても問題のない場合が多いです。

装置の装着期間は、おおよそ2〜4年ほどですが、歯列矯正にかかる期間は症状によって異なります。

2期(後期)で歯列矯正を始める時期と期間

2期(後期)の歯列矯正は、第二大臼歯が生える小学生高学年から中学生くらいのあいだです。1期(前期)と同じく、矯正期間は2年程度。1期(前期)の矯正終了後、すこし期間をあけてから、2期の治療をおこなう場合もあります。

アリビオ矯正歯科の治療矯正の流れ

早期に子どもの歯列矯正をおこなうメリット

歯列矯正は、なるべく早いうちに始めればメリットが大きいとされています。お子様の歯並びが気になる親御様も、気になったらすぐにでも歯列矯正をはじめたいことでしょう。ここでは、早期に歯列矯正をはじめることで得られるメリットについてご説明します。

上下顎のバランスが整う

顎がまだ柔らかい時期から歯列矯正をおこなうメリットのひとつは、顔のバランスを整えやすい点です。小さなお子様は顎の骨が柔らかく動きやすくなっています。そのため顎の成長を利用して、噛み合わせや顔のバランスを整えやすいのです。

矯正中も歯磨きはしっかりと!

抜歯の可能性が減る

歯列矯正により骨格を整えることで、小さい顎を広げ永久歯の生えるスペースを確保できます。結果として、将来の抜歯の可能性が減るのです。

歯が動きやすいため痛みが少ない

成長期のお子様は骨が柔らかく、大人に比べて歯が動きやすいという特徴があります。強い力をかけなくても歯を正しい位置に移動させやすいため、大人になってからの矯正治療と比較すると強い痛みを感じない場合が多いといわれています。

治療の費用と期間が削減できる

治療費用が抑えられる可能性があるのも、永久歯が生えそろうまでの1期(前期)に歯列矯正をおこなうメリットです。

1期(前期)でしっかりと治療をおこなうことで、永久歯が生えそろった後の治療の期間が短くなったり、2期(後期)に治療する必要が無くなったりするケースがあります。また、2期(後期)の費用が調整され、トータルでの治療費用が安くなることも。

子どもの歯列矯正の種類

お子様の歯列矯正に使用する器具は、1期(前期)と2期(後期)で異なります。

1期(前期)で使用する矯正器具

1期(前期)は、顎の骨格矯正がメインの治療です。上顎や下顎のバランスを整えるため、つぎのような矯正器具を使用します。

ムーシールド

おもに乳歯列時期の反対咬合(受け口)の矯正治療に使用する矯正器具で、夜間の就寝時に装着するものです。舌の位置を上げて上顎の成長を促すことで、反対咬合(受け口)を矯正します。

拡大床(床矯正)

歯が生える土台を動かし、歯が生えるスペースを確保するための矯正器具です。装置の中央にあるネジを回すことで幅を広げ、歯槽骨(しそうこつ)の位置を移動します。取り外しが可能なタイプもありますが、装着時間が短いと効果が得られません。

ヘッドギア

ヘッドギアは、上顎を後ろに引っ張る力を利用した矯正器具で、自宅で過ごしているときや寝ているときに使用する器具です。

大臼歯(だいきゅうし)にひっかけた「フェイスボー」とよばれるワイヤーと、頭頂部や後頭部に固定したヘッドキャップやネックストラップをつないで、大臼歯を後方に移動させます。上顎が移動することでスペースがあき、上顎の前歯の後退や成長の抑制が可能です。

さまざまな矯正器具

2期(後期)で使用する矯正器具

第二大臼歯が生える小学生高学年から中学生くらいでおこなう矯正治療は、成人と同じ矯正治療がおこなわれます。2期(後期)の矯正治療は、永久歯の歯並びや噛み合わせをしっかりと作り上げることが目的です。

ワイヤー(ワイヤー表側矯正)
2期の治療で使用するのは、おもにワイヤー(ブラケット)とよばれる、歯の表側にブラケットとよばれる器具にワイヤーを通して歯列矯正をおこなう器具です。

歯の裏側にブラケットをつける裏側矯正とは異なり、発音が不明瞭になったり、しゃべりにくくなったりするデメリットを防げます。

ワイヤーが表に出るため、見た目が気になる親御様やお子様もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、透明のブラケットとワイヤーで目立ちにくくする、審美ブラケットが適しています。

ワイヤー表側矯正は、強い力のワイヤーでひっぱるため、お子様が痛みを感じたり違和感を覚えたりする可能性があります。その点、矯正装置「セルフライゲーションブラケット」を使用すれば、無理のない力で歯列矯正をおこなうため、痛みが軽減できます。ワイヤーとブラケットの間の摩擦抵抗を減らすため、歯にかかる力も減らせるのです。

ワイヤー表側矯正で使用する装置の種類について、詳しくは専門医にご相談ください。
アリビオ矯正歯科にて使用している、おもな治療装置

子どもの歯列矯正にかかる費用

お子様の矯正治療は、治療費や矯正器具の費用のほか、初回診療費や精密検査費などが必要です。ここでは、1期(前期)と2期(後期)にわけて、平均的な金額をお伝えします。歯列矯正は自由診療のため、費用はクリニックにより異なるものです。詳しくは、矯正歯科にご確認ください。

1期(前期)の歯列矯正にかかる費用

乳歯が生えてから永久歯が生えそろう12歳ごろまでにおこなう前期治療の矯正費用は、30〜40万円です。使用する矯正装置の種類によって、費用が異なります。

2期(後期)の歯列矯正にかかる費用

12歳頃から第二大臼歯が完了する14歳ごろまでにはじめる後期治療の矯正費用は、35〜45万円ほどです。

アリビオ矯正歯科、治療費のご案内

子どもの矯正のお悩みや疑問は矯正歯科にご相談を

お子様の歯並びが気になったら、まずは専門医に相談しましょう。歯の動きやすい早期に矯正治療を始めれば、治療中の痛みを軽減できたり抜歯のリスクを減らせたりするメリットがあります。