高校生になられたお子様は、見た目を気にすることが増えるため「歯科矯正がしたい」と相談された親御様も多いのではないでしょうか。歯科矯正は小さいうちに行うほうがいいと聞き、今からでは遅いのでは、と心配されている方もいらっしゃることでしょう。
今回は高校生で矯正を始めたいとお考えの親御様に向けて、小中学生のお子様とのお口の状況の違いや、矯正治療の費用、治療方法などについてご説明します。
高校生の歯とどう違う?子どものお口はどんな状態?
小学生、中学生、高校生とお子様が大きくなるにしたがって、お口の中の状態は変化していきます。それぞれの時期をみていきましょう。
小学生の歯
8歳から12歳のお子様は「混合歯列期」にあたります。これは乳歯と永久歯がお口の中に混在している時期。顎の成長も未発達なので、永久歯の生えるスペースを確保しながら歯並びを整える1期治療(骨格矯正)ができる年齢です。
※小学生の矯正治療について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください
小学生のうちに歯並びを矯正する必要性は?
中学生の歯
13歳から15歳くらいになると、ほとんどのお子様のお口の中は「永久歯列期」といって、永久歯が生え揃っている状態です。乳歯にはない第二大臼歯(12歳臼歯)もしっかり生えそろっています。この時期からは大人と同様の2期治療(歯列矯正)がおこなわれる年齢になります。
そうはいってもまだまだ成長段階ですので、顎の骨は柔らかく、歯の移動量も大きい時期。個人差はありますが成人と比較すると、歯が動きやすい時期だといえるでしょう。
※1期治療・2期治療についてくわしく知りたい方は以下の記事をご覧ください
早い方がいい?小児矯正を始める時期
高校生の歯
16歳頃になると、歯も完全に生えそろい定着し、顎の骨もほぼ成長しきった状態になります。したがって矯正治療の内容も大人と同じものです。成人と同様の治療ができるため、親知らず(第三大臼歯)の抜歯を視野に入れた治療計画など、子どものうちではできなかった計画的な治療がおこなえるようになります。(個人差はあります)
歯列矯正の治療、高校生からはじめるのは遅い?
矯正治療は、なるべく小さいうちに始めたほうが効果的だといわれることも多いようです。
歯列矯正は、乳歯列の反対咬合・交叉咬合では3~6歳から、他の不正咬合では5~9歳から開始できます。乳幼児期からの矯正治療は可能ですが、だからといって、矯正をはじめるのに高校生になってからでは遅いということはありません。
矯正治療は何歳からでもはじめられますし、顎の骨がしっかりと成長し、永久歯も生え揃った高校生のお子様は、これから生えてくる歯や顎の成長の様子をみる必要がありません。
そのため治療の予測が立てやすいことは高校生から治療をはじめる利点の1つといえるでしょう。
また、小さなお子様は「歯並びを良くしたい」という気持ちがなかなか追い付かず、装置を嫌がってしまうことも多いものです。高校生になられるとご自分の意思がしっかりしている分、矯正の装置を習慣づけられる点で、親御様のご負担が少ない面もあります。
早めの矯正治療で虫歯・歯周病のリスクを回避しよう!
虫歯や歯周病のリスクを減らすには、毎日の歯磨きが大切です。しかし、歯並びが乱れた状態だと、歯ブラシの先が奥まで届きにくいため、歯に汚れや食べかすがたまったままになってしまうのです。
高校生のうちに矯正治療をおこなえば、歯磨きがしやすくなり、将来的な虫歯や歯周病のリスクを減らせます。少しでも早いうちに歯並びを良くすることで、適切なケアを長く続けられるため、予防効果も高くなるでしょう。
虫歯や歯周病は気になる口臭の原因になることもあるため、多感な時期に悩みがちな口臭の問題を抱えるリスクも小さくなります。
高校生の矯正治療の費用は?保険が適用になるのはどんなとき?
高校生ではじめる矯正治療の費用の目安について説明します。歯やアゴの状態によっては、保険治療の適用になる場合もあります。お子様の歯科矯正治療の費用がいくらかかるか、また保険が適用されるかを確認しておきましょう。
高校生の矯正費用の目安
高校生の矯正の費用は基本的に大人と同じです。矯正治療は自由診療のため、費用は各矯正歯科医院によって異なります。永久歯が生えそろった後の矯正治療の費用は、60万~150万円ほどです。
当医院では、最初に治療費の総額をお伝えする「総額提示制トータル制」を採用しています。矯正器具の調整料などは別途いただいておりません。高校生の矯正は、総額で65万~90万円(税別)の費用がかかります。その他、治療が始まる前に検査料、診断料にそれぞれ2万円(税抜)が必要です。
※アリビオ矯正歯科クリニックの治療費について詳しくは以下をご参照ください
治療費のご案内
高校生の矯正歯科治療で保険診療になるパターン
矯正治療で保険適用になるものは、以下の3種類です。
- 厚生労働省によって定められた疾患が原因で噛み合わせのズレや歯並びの乱れが起こって場合
- 前歯が3本以上、大人になっても永久歯が生えてこない「永久歯萌出不全」の場合。ただし、埋伏歯開窓術が必要なものに限ります。
- 顎変形症のうち、顎の骨を切り離す必要がある外科手術前後の矯正歯科治療
また、厚生労働省が別に定める疾患をお持ちのお子様も保険診療の対象となります。
※厚生労働省が別に定める疾患・保険診療について、詳しくは厚生労働省のHPもご参照ください
保険診療の理解のために(外部PDFが開きます)
矯正器具をつける期間や着用感を解説
お子様の永久歯が生えそろうのは15歳ごろです。高校生の場合、ほとんどのお子様は永久歯が生えそろっています。この場合は、基本的に大人と同じ矯正治療を行います。
矯正で使う主な矯正器具は、ブラケット、マウスピースなどです。お子様の症状ごとに適応する矯正器具や、装着する期間や着用感にも違いがあります。詳しくは、矯正専門医にご確認ください。
ブラケット矯正
ブラケット矯正は、ワイヤーをブラケットとよばれる装置に通して歯の位置を調整する矯正方法です。歯の表面に装着するため自由度が高く、多くの症例に対応できます。また金属のブラケットは丈夫で壊れにくいなどのメリットもあります。
金属製ブラケットのデメリットは、笑うと装置が見えてしまうことでしょう。思春期のお子様は装着を嫌がるかもしれません。現在は目立ちにくいブラケットもありますので矯正専門医に相談してみましょう。
マウスピース矯正
透明のマウスピース型の装置でおこなう矯正方法です。透明で目立ちにくいため、審美性に優れています。
マウスピース用の材質は部活や授業で激しい運動をしても、口腔内が傷つきにくい特徴もあります。また、取り外しができるので、口腔内を清潔な状態に保てます。
一方で、きちんと装着方法や時間を守ることができないと効果が出ないため、自己管理が必要になります。親御様の目の届きにくい高校生のお子様には、ご自身でよく理解していただいて、装着を続けることが重要になります。
装着したマウスピースにより、歯に一定の力が加わるため、慣れるまでは圧迫感を覚えるかもしれません。しばらくたっても違和感が取れない、痛みを感じる場合は早めに早めに専門医にご相談ください。
高校生の矯正をはじめるなら矯正歯科にご相談を
お子様が高校生になっていても、矯正治療をはじめるのに遅いということはありません。幼いうちの矯正治療と違い、「キレイな口元になりたい」という自分の明確な意思で続けられるため、親御様の負担は少ないかもしれません。
また、これから生えてくる歯の様子を見ながら治療をおこなう必要がないため、治療の予定が立てやすいという利点もあります。
高校生のお子様が歯並びに悩まれているのなら、「今からでは遅い?」とあきらめず、矯正治療の専門医にご相談してみましょう。