吹奏楽部は、文化部の中でも1,2を争う人気の部活の1つです。口を使う楽器が多いイメージがあるので「歯列矯正中には難しいのでは?」と気がかりな方もいるでしょう。そこで今回は、歯列矯正をしていても吹奏楽はできるのかについて考えてみます。
吹奏楽で使われる楽器は3種類
吹奏楽で使われる楽器には「弦楽器」「管楽器」「打楽器」の3タイプがあります。「吹」という文字からもわかるように、吹き口を吹くことで管内の空気を振動させて音を出す管楽器が多数派です。
管楽器は、金管楽器と木管楽器に分けられ、金管楽器の吹き口部分を「マウスピース」、木管楽器では「リード」といいます。
弦楽器と打楽器の演奏には口を使わないので、歯列矯正中でも支障はありません。問題になるのは、管楽器を吹くときです。
歯列矯正中に管楽器を演奏すると「痛み」と「音色の変化」が生じることがある
歯列矯正のブラケットをつけても、管楽器を演奏することは可能です。しかし「装置があたって痛む」「音色が変化する」などのトラブルが起こる場合があります。
吹き口をくわえる時に装置を圧迫し、痛みの原因に
金管楽器は、マウスピース(吹き口)を唇の真ん中に押しあてて吹きます。そのため、ブラケットが唇の内側に押し付けられて痛みが生じます。
一方、木管楽器は、上の前歯にリード(吹き口)をあて、下唇と下の前歯で楽器を支えるようにして吹きます。この時、下唇を巻き込むようにくわえるので、下唇は歯と楽器の間に挟まれ、ブラケットに強く押し当てられることで痛みが生じます。
口の中での空気の流れが変わることで、音色が変化することも
矯正装置をつけたとき、そして、治療を終了して装置をはずしたときには、管楽器の音色に変化が生じたり、音が出しにくくなったと感じたりすることがあります。装置の有無で、舌の動かし方や口の中での空気の流れが微妙に変化するからです。
また、矯正にともない抜歯する際にも、抜いた部分から息が漏れてしまうため、音が変わる可能性があります。
歯列矯正と吹奏楽部を両立するためのポイント
歯列矯正を受けていても吹奏楽部に入ることは可能ですが、楽器の種類によっては工夫が必要です。
管楽器を選ぶなら「痛み」と「音色の変化」に上手く付き合おう
管楽器を演奏する場合、慣れるまでは、痛みや音色の変化を覚悟しておいた方がいいでしょう。
「痛み」対策にはグッズを取り入れよう
痛みを感じる時に試したいのが「歯科矯正用ワックス」です。歯科矯正用ワックスは、樹脂やシリコンなどの口に入れても安全な柔らかい素材から作られています。痛みの原因となっている装置の部分にワックスを覆いかぶせることで、痛みが緩和できます。
音色の変化には「練習」あるのみ
音色の変化については、基本的に、練習を重ねて慣れていく必要があります。元のように音を出せるまでにかかる時間には個人差がありますが、練習すればするほど早く感覚がつかめます。
楽器のチョイスを工夫するという選択肢もある
弦楽器や打楽器を選べば、歯列矯正が影響を及ぼす心配は不要です。
吹奏楽部での弦楽器や打楽器はやや目立ちにくい印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、例えば、弦楽器の「コントラバス」は、全体のサウンドをまとめる重要な役割があります。また打楽器は「太鼓系」「音盤系」と種類も豊富で、テンポ感やビート感を生み出すために欠かせません。
管楽器にこだわらず、自分にあった楽器を見つけるのも選択肢の1つです。
歯列矯正中に吹奏楽部に入るなら、歯科医師と吹奏楽の先生に相談しよう
歯列矯正と吹奏楽部は両立できますが、管楽器を選ぶ場合は工夫が必要です。
部活動を優先したいお子さんの場合、吹奏楽部を引退してから歯列矯正を受けるのも選択肢の1つかもしれません。ですが、子どもの歯列矯正は開始する年齢によって可能なアプローチ方法が変わるもの。適切な時期を逃さずに治療を行うことも大切です。
ベストな選択をするためにも、歯列矯正をしながら吹奏楽部に入部する場合は、治療に適した時期や楽器の選択について十分に検討を行うべきです。顧問の先生や、矯正歯科の担当医師によくご相談されることをおすすめします。