子どもの歯並びを悪くする原因の1つに「乳歯の虫歯」があります。乳歯が虫歯になると、将来生えてくる永久歯の歯並びにまで、影響を与える可能性があるのです。
ここでは、乳歯が虫歯になってしまった場合の治療方法と、乳歯の虫歯を防ぐための方法、そして乳歯の虫歯が大人の歯に与える影響についてくわしくご説明します。
乳歯の初期虫歯は治る?治療方法は?
乳歯の初期虫歯は、歯を削るなどの治療はしないことがほとんどです。 正しい歯磨きの方法や仕上げ磨きの方法についての指導をしながら、フッ素塗布で歯の再石灰化を促進します。虫歯の進行を止め、歯を強くすることで治していきます。
白くにごって見えるのが特徴ですが、正しいケアを行い定期的にフッ素を塗り続けると元の歯に戻ってきます。
永久歯の虫歯と比較して進行速度が早いため、気が付いたらすぐに歯科を受診しましょう。
乳歯の虫歯を防ぐ3つの方法
乳歯には、永久歯に生え変わる直前まで健康でいるという大切な役割があります。「生え変わる歯だから、少しくらい虫歯になっても大丈夫」と思わず、適切な虫歯予防を心がけましょう。
「おやつ」は時間を決めて、ダラダラ食べない
虫歯菌の栄養となる糖分は、お菓子やジュースなどの「甘いもの」に多く含まれます。「甘いもの」の取りすぎにならないよう、おやつの与え方には工夫を。
食べたいタイミングでむさぼるように食べるのは、虫歯予防の観点から見ても問題があります。ダラダラと食べ続けないように、おやつの時間はしっかり決めて、短時間で済むようにしてあげましょう。
大人の手で「仕上げ磨き」をしてあげる
子ども自身による歯磨きだけでは、どうしても磨き残しが出てしまい、虫歯になりやすいものです。そこで、歯垢が残りやすい「奥歯の溝の部分」や「上の前歯の裏側」などは、大人の手で念入りに磨いてあげましょう。
毛先が寝ない程度の力加減で行うと、効率よく汚れを落とせます。
※仕上げ磨きの方法について詳しくは以下の記事をご覧ください
乳歯の虫歯予防に!上手な「仕上げ磨き」の方法
大人の虫歯菌を子どもにうつさない
生まれたばかりの赤ちゃんの口内には、虫歯菌は存在しませんが、歯の生え始めるころから、感染のリスクは高まります。大人から子どもに虫歯菌をうつさないために、コップやスプーンの共有は避けましょう。
子どもと接する大人が、口内の健康に気をつけることも必要です。周囲の大人は定期的に歯科検診を受け、虫歯が見つかった場合は、早期に治療することをおすすめします。
乳歯の虫歯が歯並びに与える影響
乳歯が虫歯になると、永久歯の歯並びに影響が出る場合があります。その主な理由としては、下記の2つが考えられます。
あごの正常な成長が妨げられる
虫歯ができてしまうと、痛みを避けるために、食べ物を片側ばかりで噛むクセや、よく噛まずに飲み込むクセがついてしまうことがあります。その結果、以下の事態を招くことがあります。
- あごの大きさが左右非対称になる
- あごが十分に育たない
あごがのバランスが悪かったり、あごが小さすぎたりすると、永久歯が生えるためのスペースが不足します。それゆえ、永久歯は歯列からずれた位置に顔を出そうとし、「叢生(そうせい)」になる可能性が高まるのです。
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虫歯の抜歯で歯列のバランスが崩れてしまう恐れがある
乳歯の虫歯は進行が非常に早いので、治療が遅れると抜歯が必要になることも珍しくありません。
乳歯を抜歯すると、歯と歯の間に隙間ができます。その隙間に永久歯がすぐに生えてこない場合、隙間を埋めようとするかのように、周囲の歯が移動してくることがあります。こういった動きにより、歯列のバランスが崩れやすくなり、後から生えてくる永久歯の歯並びも悪くなる可能性が出てくるのです。