喫煙者の方から、「矯正治療中にタバコは吸えるのか」というご相談をいただくことがあります。
このようなお問い合わせに対し、当医院では「矯正治療にあたっては、禁煙する必要があります」というふうにお答えしています。
今回のコラムでは、タバコ(煙草)と歯列矯正の関係についてご説明していきます。
タバコの主成分「ニコチン」と「タール」について
タバコに含まれる有害な成分の中で、よく知られているのが、「ニコチン」と「タール」です。
ニコチンは、血管を収縮して血圧を上昇させ、依存症となる危険性があり、タールには健康を損なう発がん性物質が含まれています。
ニコチンとタールだけでなく、タバコには約200種類もの有害物質が含まれています。歯列矯正のためだけでなく、健康のためにも禁煙した方が良いでしょう。
歯列矯正にあたって禁煙が必要な理由
健康を損なう原因となるタバコは、口腔衛生にも悪影響をおよぼします。
ヤニ汚れは虫歯の原因にもなる
タバコを吸うと、歯には「ヤニ」と呼ばれる茶色い汚れがつきますが、これは「タール」によるもの。
ヤニは粘着力が非常に強いため、虫歯の原因となる雑菌が繁殖しやすくなり、プラークへと変化します。
一度歯についてしまったヤニは、通常の歯磨きでは除去が難しく、スケーラーなどによるクリーニングが必要です。さらに、歯列矯正の装置を付けた状態だと、クリーニングの作業は困難を極めます。
タバコのヤニには、審美的な見た目への影響だけでなく、虫歯のリスクを高める副作用もあるのです。
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ニコチンの摂取は血行不良を引き起こし、歯周病リスクが高まる
タバコを喫煙することの悪影響は、歯だけでなく、歯茎(はぐき)にもおよびます。
タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させて血行不良となる副作用があるからです。
喫煙することで、
- 歯周病と戦う白血球の動きが悪くなって、免疫力が下る
- 歯肉修復に必要な線維芽細胞(せんいがさいぼう)の働きを抑制してしまう
といった影響が出るため、歯周病リスクが高まります。
歯列矯正は、歯を支える歯根膜(しこんまく)に刺激を与え、軽い炎症を起こして歯を動かす治療法です。ゆえに、歯茎は健康である必要があります。
歯周病を誘発するタバコの喫煙は、歯列矯正にとっては大きなリスクとなる行為です。
矯正治療中のタバコは控えましょう。
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審美面だけでなく多数の悪影響をおよぼすタバコ
今回ご説明したように、タバコの悪影響はヤニの着色汚れなど審美的な面だけに留まりません。
虫歯や歯周病だけでなく、口臭の原因にもなり、さらに多くの疾患リスクを高めるものです。
当アリビオ矯正歯科クリニックでは、適切な矯正治療のため、生活面でアドバイスをすることもあり、その一つとして禁煙もおすすめしています。
歯列矯正を機会に、禁煙を考えてみるのも良いのではないしょうか。